「 六 本 木 」
周縁の街から

1985年 撮影

日本カメラ(1986年12月号)




ニコンサロン(1986年)

 狭まった空をゆっくり押しあげるようにゆれる相合傘が石段を上がってくる。急な坂に面したあいまい宿から出て、思わぬ大雪、目をうばわれ、足をとられながらも、手に手をとって楽しそうな初老の男とうら若い女。願をかける母、子。父、子。制服の男女。あいまい宿から出て妻恋の社へ詣でる女たち、大きな荷をひきずり、今日もゆるゆると足の方から消えるように移動する老いたというにはまだ遠い路上生活者。ああ、飛梅ほころぶ湯島は−−−。
(政昭記)