「旅から・・・」
1970年 撮影
アサヒカメラ 1970年8月号 掲載
東京・竹芝埠頭から、大島・岡田港へ。島へ渡るあまり大きくない夜の船は、岩壁にこびるようなテープをなびかせることもなく、いつもと同じように。いろいろな種類の客を積み込んで、出航していった。 海の夜は、たとえば波、風、そして船・・・・・・・それぞれに流れていく。たとえば今夜は僕が乗っている。さまざまな目的の客や船乗りたちを乗せた船の中であらゆる出会いは、いつもとは同じではないだろう。そして揺れただよう夜が明け切ったところで、また新しい出会いがあるに違いない。 島での、帰りの船を待つ間の路地裏の出会いは、あしたの夕方の、市場での語らいを思わせた。 船は、いつもの港へ向けていく。この旅が終わると。またぼくは、どこかへ旅立つ。(政昭記) |