「あき・マリア・モンティエ像」
1973年 撮影
アサヒカメラ(1973年7月号)
シラーホッフ写真画廊(グラーツ)
ついこの間のようにも思えるのですが、やっぱり秋の初めだったと思います。だから、きょ年です。日曜日、知人といっしょにモンティエ夫妻は、私の家に来たのです。大輪の深紅のバラを10本プレゼントしてくれました。そして、いろいろな話をしました。奥方のあきさんは日本人で、モンティエ氏には、アルジェリアとフランスの血が流れていることや、彼は仕事で、遠くいろいろな国へ出かけていく話。 モンティエ氏は、仕事の旅へ夫人の写真を持っていきたいと思っているのです。それには、ふたりにとってのプライベートなピンナップがよいとのことです。今流週刊誌用語なら、さしずめオナペットのピンナップでしょうか・・・・・・ でも、夫が遠くの国でのひとり寝に、妻のピンナップを見るなんて、どこかの国の若者より少しかっこよくて、写真としても非常に健康なことじゃないかと思ったのです。それで私は、夫妻がとてもすばらしい人たちだと思い、その話を引きうけてしまったのです。撮影料は、と聞かれて、私は部屋に花があるのが好きなので、向こう1年間、それを絶やさないようにするというわがままな条件で・・・・ 出来上がった写真の一枚に、彼女は真赤なキスマークをつけたのです。それら数枚の写真は、旅行用の額の中に収まって、モンティエ氏ともども行ってしまいました。私はあの真赤なルージュは、色あせることがないと思うのです。 |